災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.668  (2016年2月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.48
Recrew No.668 (2016年2月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.48

公開日
2020年8月11日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
被災地を支えるレク支援者育成


岩手県レクリエーション協会

岩手県レクリエーション協会では、『岩手県地域ふれあい運動サポーター養成講座』を、昨年8月から11月にかけて宮古市、陸前高田市など沿岸の6地区で行いました。この講座は、被災地の高齢者支援の一環として、地域住民がサポートできるようにレクリエーションのノウハウを学ぶことを目的としており、岩手県が主催、レク協会と各地域の包括支援センターが主管で、各地区とも3回の講座を実施しました。

11月10日は岩泉町で3回目の講座が開催されました。テーマは「実技・身近なものでできるレクリエーションを学ぼう~手作りレクリエーション財の体験~」です。会場に手作り用具がところ狭しと並びます。まずは、集会所や談話室にある座布団、折りたたみ椅子とタオルを使った〝お座敷ビンゴ〟ゲームから体験です。「参加者や会場によってルールや点数を変えることができます。点数を取ることで楽しめるゲームなので、状況によって点を取りやすい工夫をすればいくらでも楽しめますよ」と、相馬満枝さんが説明すると、参加者の皆さんも「なるほどー」と関心の声が。

被災地での活動では、バナナの箱で楽しむお手玉ゲーム〝バナナッゴー〟が誕生しましたが、今回はコピー用紙の箱やペットボトルが入っている箱に丸い穴を開けて使います。点数は、穴に入ると2点、箱に乗ると1点。「相手の箱に入ったり乗ったりしたら相手の点数になりますよ!」とルールの説明の後、ゲームスタート。相手の箱に入ると思わず「ありがとうございますっ!」と点数が加算されたチームからお礼の言葉がありました。千葉正道さんから「箱をくっつけて並べたほうがゲーム性が高くなりますよ」と楽しみ方のポイントの解説もありました。その後も、テーブルで楽しめるゲームの紹介や、380円のスノコで製作した〝ス ハッゴー〟など、次々とすぐに取り入れられる素材が紹介されました。

後半はグループワークも行い、3回の講座の振り返りを行いました。「発展・工夫の大切さを学んだ」「いろんなゲームがある、道具なくても手作りで工夫できること知った」「是非、サロンで実施したい」などの感想が発表されました。最後に、岩泉町民課長の安部次男さんから、「出来るだけ実践につなげてほしい。寝たきりではなく、出たきりになって夕方自宅に帰るようなアクティブな生活をサポートしていただきたい」という励ましの言葉があり、修了書が授与されました。

防災の支援とレク協会の組織づくり

東日本大震災から5年が経過しようとしています。復興はまだ道半ばであり、被災県レクリエーション協会の支援活動も続いています。

支援活動が長期化するにともない、被災地での支援者育成も支援活動の課題となりました。今回のように、内陸の都市部から主な被災地である沿岸部に支援に出かけるのは負担も大きく、行き帰りでの事故も心配です。また被災地の中でも、幸い被害が少なかった人たちが、高齢者や子どもたちの健康づくりを手伝いたいと思っていたり、仮設住宅でサロン活動を手伝う被災者が活動の幅を広げたいという想いを持っていたりします。そうしたことから被災地でのレクリエーション研修 会やレクリエーション・インストラクター養成が行われ、被災地域の行政、社会福祉協議会も会場の提供、広報などに協力してくれました。

こうして養成した支援者をもとに、被災地にレクリエーション協会を創っていくことも大切です。レク講習会を受けた人の中には、すでに被災地で活動をしている方も多く、そうした人たちがネットワークをつくることで、お互いの活動を助け合い、内容が豊かになっていきます。地域レク協会を創ることで、県のレクリエーション協会からスタッフ、用具などの支援を受けながら、スポーツ・レクリエーション祭などを行い、親子で遊ぶ機会や、地域イベントが復活することで、徐々に復興してきたことを感じてもらう機会を創ったこと。また、地域行政が行う介護予防に取り組むようになったケースもあり、支援の幅も広がっていきます。

一方、被災地以外の地域レク協会では、既に災害に備えるという意識が薄れ始めているかもしれません。こうした災害に対する意識を保つことは難しいことです。しかし、これまでの支援活動の経験からも、人々の心を元気づけ、交流を生み出すレクリエーションによる支援は必要とされていること、そうした支援活動は個人よりも地域レク協会という組織のほうが活動しやすいこともあり、災害に対応できる組織づくりはミッションと言えるかもしれません。

これまでの活動レポートで紹介してきた公認指導者や地域レク協会は、ほとんどが震災前から子どもたちや高齢者に関わる活動をしていました。普段の活動のなかで高齢者の介護予防や子どもの居場所づくり等に取り組み、できるだけ多くの公認指導者に関わってもらい、実施できるプログラムと人材を確保していくことでも災害に対応する組織づくりができるのです。災害に備えて組織の力をアップする。そんな視点からも、地域レク協会の事業を検討してみましょう。
 Recrew No.668  (2016年2月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.48(2-1)
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