災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.643(2013年7月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.23
Recrew No.643(2013年7月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.23

公開日
2020年7月16日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
継続した支援活動が気持ちを前向きに。
被災者との絆も強く


毎週土曜日の支援活動で気持ちも前向きに しちがはまレクリエーション協会

「仮設住宅で暮らしていますけど、元気でやっていますと伝えてください」。4月20日(土)、しちがはまレクリエーション協会の支援活動を取材した際、そう声をかけてくれました。
しちがはまレク協会は、湊浜二丁目応急仮設住宅が設置されてまもなく談話室での支援活動を開始し、現在も毎週土曜日の活動を続けています。10世帯(7家族)の小さな仮設住宅ですが、ここで暮らす方の友人なども参加するようになり、毎回10数人が集まります。
今回が3度目の取材。みなさんがとても若々しくなったことに驚きました。前回(1年前)、「持病があるから」と体操などを途中で止めていた方が、みんなと一緒に活動に参加している様子。「あっという間に足腰が弱くなってしまった」と話していた方が、とても姿勢よく歩いている姿。こうした変化も、みなさんの気持ちや心持ちが前向きになっていることを感じさせてくれます。
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この日は、初めて談話室の外に出る活動を試み、桜の花が咲く近くの公園までお散歩。公園では、身体のバランスやスクワット等の運動が入った介護予防体操や、ボール送りリレーなどで楽しく身体を動かし、外でレク・ダンスも楽しみました。ダンスは、NHKの復興支援ソング「花は咲く」に合わせた踊り。最近の活動でも毎回楽しんでいたということで、みなさんの動きがピッタリと合い、「今日は伸び伸びと踊れて、気持ちがいいね」と話していました。
談話室に戻るとお茶の時間。この日は、「お花見」の季節ということで、しちがはまレク協会の舘岡百合子さんたちが手作りのお団子や揚げ餅、漬物などを持ってきてくれました。
「たまには外に出るのもいいね」、「またちょくちょくやろうよ」と話すみなさん。「もう2年もつき合っているから」「毎週楽しみで」と、みなさん自ら談話室の開け閉めをしたり、お湯を沸かしたりしてくれるそうです。片付けも、「あとはやっからいいよ」、「『いいから』って言って、座ったままじゃ…(笑)」と冗談が飛び交います。
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「みなさんが元気になると、自分も元気をもらえます」と、斉藤貴子さん。斉藤さんも今回の震災で自宅を失いました。「いろいろな不安で今後のことも考えられなかった」時期もあったそうですが、支援活動に関わるようになって「このまま止まっていられない」と前向きな気持ちになれたと話してくれました。

歌を通してコミュニケーションも深まる 福島市レクリエーション協会

毎月第2水曜日、二本松市安達町運動場応急仮設住宅の集会所で、福島市レクリエーション協会の支援活動が続いています。ここで毎回行われているのは、歌のプログラム。実はこれまで、福島市レク協会の蒲倉一男さんが伴奏をしていました。しかし、4月はじめに急逝され、それ以降、4月の活動から鈴木道代さんが伴奏を引き継いでいます。
「5月といえば、今、歌わねばならない歌がありますね」。斉藤公子さんの問いかけから5月8日(水)の活動が始まりました。すぐに「こいのぼり」や「せいくらべ」などの曲名が返ってきます。「季節が良くなってきたので、花の歌も歌いましょう」と、花をテーマにした歌も歌いました。「みかんの花咲く丘」では、「手遊びを覚えていますか」と尋ねると、「茶摘みのほうがよくやった」というみなさん。「では」とやってみると、いくつかの遊び方が出てきました。「この人と私は歳が違うから、年代で違うんだよ」という声に、みなさん大笑い。
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休憩のお茶の時間には、昨年に続き佐藤千鶴さんが作った粽(ちまき)がみなさんに配られました。この仮設住宅には浪江町の方が暮らしており、昨年、「浪江町では端午の節句は柏餅だけで、粽は食べない」という話を聞いて用意したものだそうです。今年も粽を見て「一年経ったんだね」と、感慨深げに話していました。
後半はリクエストに応えて昭和の歌謡曲です。「別れの一本杉」や石原裕次郎の歌になると、スタッフよりもみなさん、特に男性のほうが良く知っています。「懐かしいね」、「テンポがちょっと速いね」とアドバイスする方、「いきいきしてきちゃったんじゃない」と冷やかされる一幕もありました。
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この日は終わったあとも、しばらくお茶の時間が続きました。「震災前は田んぼや畑、広いところでやってたから、仮設は息苦しい」。「こうしてみなさんと会えるのは嬉しい」というお話のほかにも、避難区域から解かれて自宅に行ってみた話、その一方で、まだ戻れない方の不安な気持ちも語られました。震災直後の避難の様子やその時の寂しさも、改めて話してくれる方もいました。本当の意味で気兼ねのない仲になってきたのかもしれません。

※福島市レクリエーション協会会長の蒲倉一男さんが、4月4日、心筋梗塞のためご急逝されました。
 蒲倉さんは安達町運動場応急仮設住宅の支援活動で、毎回ピアノで伴奏をしてくださり、いろいろなリクエストにも直ぐに応えてくださる頼もしい方でした。また、借り上げ住宅の被災者支援のために行ったショッピングセンター等での支援活動、夏期の子どもたちのキャンプ、県内の総合型地域スポーツクラブを通した支援活動など、福島県内での様々な支援活動を支えてくださいました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
 Recrew No.643(2013年7月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.23(2-3)
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