災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.634(2012年9月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.14
Recrew No.634(2012年9月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.14

公開日
2020年7月7日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
これからの活動課題
コミュニティづくりと
子どもたちの支援に向けて。


子どもたちを支援する2年目の活動がスタート! 遠野市レクリエーション協会

遠野市レクリエーション協会の被災地の子どもたちを支援する2年目の活動が始まりました。同協会では、津波の被害を受けた大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市の子どもたちに、遠野市の豊かな自然環境の中で思いきり遊んでもらう支援活動を、震災の1ヵ月後から展開。昨年度4月~10月にかけて行った17回の活動を通して、550人の子どもたちや親子を支援しました。
今年度は6月7日、釜石市立唐丹小学校の児童21人を招き、活動が始まりました。翌日の6月8日、大槌町立吉里吉里小学校の児童が遠野市の柏木平レイクリゾートを訪問。1年生から4年生までの77人、引率の先生8人の合計85人が参加するため、遠野市レク協会をはじめ盛岡市レク協会、滝沢村レク協会から20人のスタッフが集まり、遠野まごころネット(地元のボランティア・ネットワーク)からも24人のボランティアが派遣されてきました。
芝生の広場には、バンブーダンス、リングキャッチ、大縄跳び、輪投げ、ディスゲッター、ステップマットのコーナーが準備されました。子どもたちにはポイントラリーのカードが配られ、それぞれの種目を回っていきます。
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フライングディスクで9つの的を射抜くディスゲッターや、3つのリングをまとめて投げ合うリングキャッチなど初めてチャレンジする種目に、子どもたちはワクワクしている様子。0から9までの番号が書かれた円形のマットを散らばらせて置き、番号の順に走ってマットを踏んでいくステップマットは、一度やると息が切れるほどですが、男の子たちはタイムを競って、何度もトライしていました。
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大縄跳びも、友だちと一緒に飛ぶとなかなか続きません。「20回は飛ぶから」と目標を定めて挑戦する子どもたち。バンブーダンスも、最初はステップを覚えるのが精一杯でしたが、何度も挑戦するうちに上手になっていきました。一通り挑戦が終わる頃には、みんな「暑い、のどが渇いた」と、水を飲みに走るほど。
この他にも用意されていたのが、ボールやプラスチックバットなどのスポーツ用具。子どもたちは、ボランティアに「ドッジボールやりたい」などと声をかけ、芝生の広場のあちこちでサッカーやバレーボール、野球などを楽しむ輪ができました。「息ができないくらい走ったよ」、「芝生が気持ちいい」と子どもたち。みんなお風呂上がりのような汗をいっぱいかいた顔になっていました。
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震災から1年が経ち、子どもたちも落ち着いてきているように見えますが、大変な経験をした傷はまだ癒えず、「子どもたちは忘れようと心がけているのではないか」と吉里吉里小の栗澤弘校長先生。津波で流された街の跡や海を見ると震災を思い出し、ちょっとしたことで涙もろくなる時があるそうです。また、地域の遊び場がなくなったり、登下校の時の寄り道などもできなくなったりして、「日常の中で子どもらしさが保障されていない。そうした状況のなかで、子どもたちが自然豊かな場所で、思いきり汗をかいて遊ぶことがとても大切」ともお話しくださいました。
被災地の小学校では、プレハブの仮設校舎(前日の唐丹小学校)や校庭に仮設住宅が設置されたり、耐震補強の問題で体育館が使えない等の状況が続きます。伸び伸びと身体を動かし、思いきり遊ぶ機会を子どもたちに提供するために、遠野市レク協会の2年目の支援活動が続きます。

女川町復興ふれあい農園で コミュニティづくりを支援 東北福祉大学

東北福祉大学地域共創推進室とその活動サークル「まごのてくらぶ」が、女川町新田地区で「復興ふれあい農園」をつくり、被災者の支援やコミュニティづくりに向けた活動を続けています。同大はレクリエーションの学習課程を設置する日本レクリエーション協会の課程認定校で、同推進室とまごのてくらぶには宮城県レクリエーション協会の理事や公認指導者も関わっています。
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6月30日は農園を拡張する作業が行われました。農園の活動は今年2月に始まり、今回で19回目となります。新田地区も津波の被害に遭い、初めは誰もが「農園なんて無理だ」と思っていたそうです。しかし雑草を刈り、瓦礫や流木、石をどかし、土、堆肥を入れるといった地道な作業を続け、4月5日から種や苗を植えることができるようになりました。作業が進むにつれ、地元の人たちも参加するようになり、最近では「やる気を出して、自分たちでも畑をひろげ始めている」といいます。女川町の須田善明町長も、「多くの人が関わり、仮設住宅から外に出てコミュニケーションをとるきっかけとなっていて、とても嬉しい。これからも一緒に女川町を育んでほしい」とお話しくださいました。
この日は、東北福祉大学の学生16名と、大学が位置する国見地区連合町内会の方々17名が作業をしました。国見地区のみなさんも「何かできることで支援をしたい」と思っていたそうです。同大の千葉英俊先生から作業の進め方を聞いた後、みなさん鍬を手に荒れ地に入っていきます。雑草をとり、土を耕しながら石を掘り起こし、取り除いた雑草と石を運ぶねこ車も休みなしに動いていました。30人が作業をしているので、みるみる農園が広がっていきます。
新田地区の人たちも農園のまわりの草を刈ったり、石を取り除く作業を行っています。既に30区画ほどでキュウリやトマト、ナス、枝豆、ジャイモなどを栽培。「作業をしながら話をしたり、収穫も楽しみ」、「これが一日の楽しみになっている」と話してくれました。
昼食はみんなでお弁当です。新田地区仮設住宅のお母さんたちも手料理を一品ずつ持ちよってくれました。煮物や漬け物、ワカメの酢の物がならび、マンボウの酢味噌和えなど、海の町ならではの一品もあります。「今日、料理を持ちよってくれた人たちは、初めての顔あわせなんだ」と教えてくれたのは、阿部薫さん。「こういう機会がコミュニティづくりにもなっている。これをきっかけに外に出てきて、みんなで話しながら食べる。これもレクリエーションだよ」と話してくれました。
新しく耕した農園の一部には、国見地区の区画も作られました。地元の人の助けを借りながら野菜などを栽培をします。こうすることにより、地元の人たちは「支援に来てくれる人とのつながりを実感しやすい」といい、国見地区の人たちにとっても継続した交流の場となります。農園はコミュニティとコミュニティをつなぐ場にもなっていきそうです。
さらに農園には東北福祉大とレク協会の区画もできました。農園での関わりを通して、レク協会が仮設住宅の集会所で行われている「お茶っこ飲み会」を支援することや、夏祭りをしたらどうかといった話題も出てきました。宮城県レク協会では、この農園活動を通した女川町の支援にも取り組んでいきます。
 Recrew No.634(2012年9月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.14(2-2)
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