災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.626(2011年11月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.06
Recrew No.626(2011年11月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.06

公開日
2020年6月29日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
今こそ必要とされている、
「遊び」によるボランティア。


仮設住宅での支援活動を開始! 福島県・市レクリエーション協会

福島市レク協会が活動を始めたのは、福島市内に設置された北幹線第一仮設住宅です。ここでは福島県浪江町(福島第一原子力発電所の事故により20キロ圏内が警戒区域、その外側も計画的避難区域)の皆さんが避難生活を送っています。
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8月20日(土)、初めての活動には仮設住宅に住む子どもや高齢者、約30人が集まりました。最初は、風船を使ったバルーンアートやおしゃべり。スタッフもお茶やコーヒーを入れて、リラックスした雰囲気作りをしました。しばらくすると、スタッフがジャンケンのゲームや肩たたきなどを始めました。ストレッチから、だんだんと筋力トレーニングになるような動きをしていきます。会場にはマニキュアコーナーも作られ、ボランティアスタッフとおしゃべりを楽しみながらマニキュアを塗っていました。
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浪江町は、放射線だけでなく津波による被害も受けました。請戸浜や棚塩といった被害の大きい地域の方々も、この仮設住宅で暮らしています。ほとんどが、避難所や住む場所を何度も移ってきた方。参加者からは、「また地域の知人と会えて、話をしたり一緒に何かするのが嬉しい」「いたましかったこと、家が流されたこと、いろいろ胸にあるけど、今日は忘れられた」「こういうとこに来るといいんだよ」「また遊びに来るから声かけて」などの声が聞かれました。
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福島県レク協会は、飯舘村(福島第一原子力発電所の事故により計画的避難区域)が相馬市大野台に設置した仮設住宅で支援活動を行っています。9月18日(日)、2回目の訪問となるこの日は、東大阪の会社から段ボールで作る整理ボックスのキットの提供を受け、一緒に作ることからスタート。「頭の体操になるからいいんだよ」と作り始め、集会所はボックスを組み立てる人でいっぱいになりました。後半は、軽い運動。指や手、腕などを動かしたり、歌を歌ったり…。仲間とのコミュニケーションを楽しんだ1時間、集会所は笑い声で溢れていました。

田野畑村「親子ふれあい広場」で活動 いわて子どもあそび隊

9月4日(日)、いわて子どもあそび隊が岩手県田野畑村で開かれた「親子ふれあい広場」で活動しました。田野畑村は6つの地区のうち海沿いの2地区が津波の被害を受けました。半年経った今、雑草が被災の跡を隠していますが、流された鉄道の駅や鉄橋の跡などが被害の大きさを伝えています。
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「親子ふれあい広場」は、村内の保育園と児童館で作る田野畑保育会が、毎年開催している行事です。いつもは子どもが親に飛びつくような、文字通りふれあうことを中心としたプログラムでしたが、震災により約3分の1の園児の家庭が被災していることから、「親がリラックスでき、心のケアにつながることをしたい」と、いわて子どもあそび隊に相談しました。そうした想いを受け、レクリエーション・インストラクターで学校心理士でもある井上孝之さんがプログラムを企画しました。この日はお二人の小児科の医師も参加してくれました。

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朝9時過ぎ、会場のアズビイ体育館に親子が集まってきました。体育館のすぐ隣の仮設住宅からも参加があり、45組の親子が集まりました。

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井上さんがギターを手に、「おはよう」のあいさつを交わす歌を歌い始めます。子どもたちもだんだん大きな声が出てきました。歌で進める紙芝居や絵本の読み聞かせをしながら、子どもたちと一緒に声を出したりいろいろな動作をしたりするうちに、すっかり打ち解けた雰囲気。その後、いわて子どもあそび隊のメンバーのリードで、手遊びや歌遊び、身体を使った遊びなどを楽しみました。
後半は、親と子どもが別れてのプログラムです。子どもたちは簡単なケン玉を作るクラフト、親はお茶会です。雑談をしながら日頃のストレス解消法を紹介しあったり、ちょっとした不安を小児科の先生に相談したりしました。
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親子ふれあい広場を開いた田野畑村若桐保育園の畠山厚子園長先生は、「震災で親にはいろいろな不安やさまざまな気遣いがあり、子どもにはそうした親の心の状態が響きます。こうした機会を通して少しでもリラックスしてくれれば」と話してくれました。

震災後半年間で400を超える活動を実施。 震災後3日目から活動

震災後半年間の活動状況を大まかにまとめたところ、地域レクリエーション協会等のボランティア活動は、早いところで震災後3日目から始まっており、活動の総数は400を超えることがわかりました。
早くから活動を始めた地域レク協会の一つ、しちがはまレクリエーション協会(宮城県七ヶ浜町)は、一週間後から避難所での活動を始めました。きっかけは、日頃から介護予防や健康作りに取り組んでいた住民からの要請で活動が始まり、当初は「エコノミークラス症候群予防」のための体操やストレッチ、手遊び等を中心に行いました。  今回のレクリエーション・ボランティアの実施は、全国社会福祉協議会をはじめ各県・地域の社会福祉協議会の協力によって始まった例も少なくありません。また、活動を前向きに受け入れてもらえる避難所が多く、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震等での経験から、遊びやレクリエーション活動によるボランティアの必要性が広く認識されていることがわかりました。
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被災地に合わせた多様なプログラム

れました。例えば、震災直後は、一人あたりのスペースが狭い避難所でなんとか身体を動かし、健康を保とうと体操やストレッチなどを中心としたプログラムや、被災者に寄り添い、話を聞くといった活動。1、2カ月経過し、少し落ち着いてくると、活動スペースを確保して外遊びやニュースポーツなどを行うプログラム等も行われました。
避難所の場所によって活動の形も変わりました。津波による被害を受けた沿岸地域は、都市部からの距離や道路の状況により片道2時間以上かかる場合もあります。このため、被災地の避難所等での活動は、限られた時間の中でプログラムを提供する形が多くなりました。反対に都市部に設置された避難所では、避難所の一角に遊びのコーナーを設けて、絵本の読み聞かせをしたり、クラフトをしたり、体操をしたり、一日の中で訪れる被災者に合わせてプログラムを提供するケースもありました。
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県外からもボランティアが参加

レクリエーション・ボランティアの活動には、県外からのボランティアも加わりました。
8月に福島県の子どもたちを対象に行ったキャンプでは、多くの公認指導者や課程認定校の学生がボランティアとして参加。その中には、近畿や九州からの参加もありました。宮城県レク協会の活動にも、仙台大学や東北福祉大等の課程認定校の学生が参加しています。
また、全国福祉レク・ネットワークが福島県内の活動に、全国学校レク・ネットワークが岩手県内の活動に参加するなど、公認指導者団体からの支援もありました。その他、遠野市レク協会の活動に遠野市社会福祉協議会や地元のボランティアネットワークからのボランティアが参加するなど、一般のボランティアの参加もありました。
公益財団法人日本レクリエーション協会、都道府県レクリエーション協会はこれからも被災地への支援活動を継続していく予定です。
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