Let's study レク塾 第7回 特別活動とレクリエーション
Let's study
レク塾 第7回

特別活動とレクリエーション

公開日
2018年4月13日
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いま学級活動に「クラス会議」を取り入れることが流行になっています。
クラス内の合意形成に向けた話し合いを活性化するレクリエーションは、子どもの社会性や情動発達にとても有効な快体験となります。
そんな「特別活動」をテーマに、トレンドや今後の展望についてデータをもとに紹介します。
執筆者:矢野正(名古屋経済大学大学院 人間生活科学研究科 教授)


①特別活動とは

特別活動の目標
「望ましい集団活動を通して、心身の調和のとれた発達と個性の伸長を図り、集団の一員としてよりよい生活や人間関係を築こうとする自主的、実践的な態度を育てるとともに、自己の生き方についての考えを深め、自己を生かす能力を養う」となっています。

学級活動の目標
「学級活動を通して、望ましい人間関係を形成し、集団の一員として学級や学校におけるよりよい生活づくりに参画し、諸問題を解決しようとする自主的、実践的な態度や健全な生活態度を育てる」です。
レクリエーションの観点からは、クラス開きや学級開き、また学級じまいにアイスブレーキング・ゲームを行なったり、学活の時間で簡単なゲームで盛り上がったり、林間学校等の学校行事で野外のレクリエーションを行ったりしている学校が増えています。

学校行事の目標
「学校行事を通して、望ましい人間関係を形成し、集団への所属感や連帯感を深め、公共の精神を養い、協力してよりよい学校生活を築こうとする自主的、実践的な態度を育てる」です。
このように見ていくと、レクリエーション活動と小学校の特別活動というものは、重なり合う部分がたいへん大きいと推察できます。

②特別活動の中でのレクリエーション事例

これまでに筆者は、小学校の学級担任として、学活や総合・体育等の時間を使って「グーパー」「あとだしジャンケン」「タイ・タコ」「フルーツ・バスケット」などを行い、リラックスや休憩の時間をとるように努めてきました。また学習では協働を中心として、「震源地」や「文字さがし」「漢字をつくろう」「新聞タワー」「牛乳パックジェンガ」などを通じ、クラス全体に友情関係や雰囲気を培うようにしました。写真は、そんな学活での話し合い活動の様子を写した一枚です。
Let's study レク塾 第7回 特別活動とレクリエーション(2-1)小学校での学級会の様子。話し合い活動の一環

③特別活動の有効性

そんな特別活動ですが、実は学力や体力との間に高い相関があることが、先行研究で明らかになっています。平成25年から全校的に学級活動や児童会活動を展開している関東圏のA小学校では、体力データが全国平均を上回るまでに成長しました(図1・2参照)。
Let's study レク塾 第7回 特別活動とレクリエーション(3-1)新体力テストのデータ比較(A小学校と全国平均)

特別活動に特化した先駆的な取り組みの学校の一例ではありますが、レクリエーションを通して子どもたちの人間関係が深まり、学級・学校が大きく成長したことを示すエビデンス(証拠)となります。また同時に特別活動を通して、話し合い活動が活発となり、学級内の人間関係が成長していることもうかがえます(図3・4参照)。
Let's study レク塾 第7回 特別活動とレクリエーション(3-2)

④特別活動の現在とこれから

2017(平成29)年8月26日(土)~27日(日)の2日間にわたり、椙山女学園大学星ヶ丘キャンパス(愛知県名古屋市)で、「日本特別活動学会第26回東海大会」が開催されました。
2日間で229名という多数の方々が参加したことからも、特別活動への注目度の高さが分かります。本大会では、「特別活動(TOKKATSU)の国内外発信」をテーマに、 ①特別活動のどの側面が未来志向型コンピテンシーのどの部分と対応しているのか、それを日頃の教育活動のなかで実現していくためにはどのようなカリキュラム・マネジメントが必要かを探究しつつ、②新しい日本型教育モデル「TOKKATSU」を世界に向けて発信することの意義について考察しました。
1日目に開催された公開基調講演とシンポジウムでは、アメリカのミルズ大学から日本の学校教育研究の第一人者であるキャサリン・ルイス教授を招聘し、その講演のなかで我々は以下の知見を得ることができました。

-人間は自律性( もしくは主体性)、所属感、達成感を充足させることができたとき、組織自体やそこに属する人間に情緒的で社会的な絆を築くことができ、組織の価値を内面化するようになる。特別活動は、子どもが学校に情緒的で社会的な絆を結ぶために機能的に作用している。さらに、不確実性の高まる将来に向けて、世界の学校教育が認知的能力と非認知的能力(多くは社会情動的スキルと呼ばれる)のバランスのよいカリキュラムを必要としているなか、日本の学校教育は既に特別活動で後者の育成に成功しているといえる。その方法は社会情動的スキルを身に付けさせるための特別のプログラムを行うというよりも、子どもたちの学校生活の文脈に「織りめぐらされている」方法によるものである。

このルイス教授の講演により、日本の研究者と実践家が自明としていた特別活動の良さに改めて気づくことができ、本大会のテーマの足掛かりを得られました。

⑤特別活動の今後の展望

日本の特別活動は、「TOKKATSU(特活)」と呼ばれ、世界に教育輸出されようとしています。日直、掃除(清掃)活動や給食当番など、他国からすると日本の小学校の当たり前の活動が、とても素晴らしい取り組み活動であると評価され、どんどんと採り入れられているのです。レクリエーション活動も同様に日本からの教育輸出が広まり、教科外活動としての特別活動での取り組みやレクリエーションの活用が、学校・教育現場で今後ますます望まれるでしょう。