レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向
レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ 

支援の方向

公開日
2020年9月19日
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2012.11.30
Vision of the team recrew-震災支援のこれから-
自立に向けた支援への期待


新たな不安・ストレスへの対応

震災から1年8ヵ月が経過しました。仮設住宅での暮らしは、家事などで動く範囲が狭く、震災前に行っていた庭仕事や趣味活動なども無くなっている場合が多いことから、「身体を動かさなくなった」、「外出の機会が減った」と感じている方が多いようです。こうした生活が長引くにつれて、閉じこもりがちになる方も少なくありません。
また最近よく聞かれるのが、以前暮らしていた場所に戻れないことへの不安や寂しさです。津波の被害を受けた地域では、盛り土等により同じ場所に家を再建できるかもしれないという可能性を心の支えにしていた方もいます。しかし、復興が少しずつ進み、被災地域の活用方針が固まっていくにつれ、その可否も明確になってきました。被災者の方からも、震災当時の体験よりも、将来への不安感や、「戻れないとわかった自宅の跡地を見に行った」といったお話が多くなりました。
こうした新たな不安・ストレスを少しでも軽減し、閉じこもりを防止し、人との繋がりをつくる、これまでのようなレク支援は引き続き必要とされています。

自立した活動の環境づくり

一方で、ある程度生活、気持ちも落ち着き、自立に向けて動き始める人たちも多くなってきました。ある地域では、農園のような自分たちで日頃からできる活動が必要で、そのために、直接的な支援よりも「農園を拡げていく作業などの環境づくりを支援してほしい」と言います。
同様に、健康づくりや趣味活動、生涯学習についても自立的な活動が始まっています。自分たちで活動していくことは、「震災前の生活に近づこうという気持ちの表れ」という方もいますし、サークル等の中での「新たな役割が生き甲斐づくりにもつながる」という考えもあり、被災者自身で取り組めるサークルづくりを促していくような支援が期待されています。
そうした自立的な活動を促すには、その地域にリーダーが必要であり、レク支援の担い手を被災地で育成しようという動きも始まろうとしています。

コミュニティづくりと風化防止

復興へ向う中で、震災後の自治会も整ってきました。そこでの課題はコミュニティづくりです。仮設住宅は複数の地域の住民が暮らしています。震災前の繋がりだけでなく、他の地域の人たちとも協調していかなくてはなりません。みなし仮設の場合も、そこの地域との繋がりをどうつくるかが課題です。人々が出会い、交流する機会をできるだけ多くつくりたい。地域の人たちが主体的に関わるイベントや地域行事の復活、さまざまなソフトを活用したイベントが期待されています。
1年8ヵ月という時間は復興への動きと同時に、「震災が忘れられてきている」という思いも募らせています。こうした風化防止についても、レクリエーションを通した支援が期待されています。例えば東北福祉大学は、農園づくりを通して大学のある国見地区と女川町清水地区の交流の機会をつくりました。清水地区の方も「応援してくれる人たちがいると励みになる」と言います。ウォーキングやウォークラリー、サイクリング等を被災地をフィールドとして行い、被災地外の人たちとの交流の機会をつくることも風化防止に向けた支援となります。
また、自然環境を活かした野外活動や自然体験プログラム、その拠点づくりを検討する被災地もあり、復興に向けた試みにレクリエーションを活用することが始まっています。ある福島県の関係者は、「福島については、まだみんながマスクをして生活しているという間違ったイメージを持っている人も少なくない。レクリエーションを通した交流が盛んになって、一人でも多くの人に実際の福島を知ってもらい、風評被害を無くしたい」と話してくれました。

(企画・広報チーム 小田原一記)
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