レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向
レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ 

支援の方向

公開日
2020年9月17日
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2012.7.2
Vision of the team recrew -震災レク支援のこれから-
災害に備えるレクリエーション支援の準備


2012.7.2 Vision of the team recrew -震災レク支援のこれから- 災害に備えるレクリエーション支援の準備

東日本大震災から1年以上にわたる支援活動の中では、レクリエーションを活用してさまざまな支援が行われました。また、兵庫県レクリエーション協会は、今年3月、災害に対するレクリエーション支援の備えをするために、阪神・淡路大震災の経験をまとめた冊子を作成しました。これらの経験を振り返り、災害直後から避難所での支援について、どんなプログラムやノウハウが必要なのか、今後の災害支援に備えるために整理してみたいと思います。

気持ちを落ち着かせるアクティビティ

災害の直後、被災者の気持ちをできるだけ落ち着かせ、必要なコミュニケーションをとるために、適度な運動やスキンシップが効果的と言われています。
手首、足首などの間接をまわしたり、肩の上げ下げ、ストレッチなどによって身体をほぐします。ストレッチの際には呼吸も意識し、段々とゆっくり、大きな呼吸にしていきます。2人組みで行うストレッチなどを入れることで、無理なくスキンシップの機会を取り入れることもできます。
身体をさする、なでるといったマッサージも効果的です。ハンドマッサージやフットマッサージも、気持ちを落ち着かせたり、コミュニケーションをとるための有効な方法です。
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向(2-1)

被災者の話に耳を傾ける姿勢

被災者の話に耳を傾けることは、信頼関係を築き、気持ちを和らげたり、ニーズを把握するために、支援全般を通して必要です。次のような点に配慮しますが、傾聴等の研修等を受けて技法を身につけることが有効です。
ペーシング:相手のペースに合わせること。
励まし:あいづちやうなずき等により、受け止めている姿勢を示す。「はい、そうです」「いいですね」等の言葉を返すことも、会話を促進することにつながる。
キーワードの繰り返し:相手の語った大切な言葉を反復することも受け止め、理解をしていることを示すことになる。
要約:相手が話した重要と思われる言葉を意識しながら、簡潔にまとめる。受け止めていることを示し、相手が自分の気持ちを再確認する機会になることもある。

健康づくりのための体操

避難所や仮設住宅では、運動不足の解消や健康づくり、介護予防が強く意識されており、体操やストレッチなどの身体活動をリードするノウハウが必要です。
ラジオ体操/みんなの体操/エコノミークラス症候群予防体操/3B体操/ダンベル体操/タオルを使った体操/県民歌や唱歌、歌謡曲等に合わせた体操/顔体操 等
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向(4-1)

声を出してもらう展開方法

声を出すこと、笑うことは、ストレスを軽減し、被災者の気持ちを和らげます。被災者のみなさんにできるだけ声を出してもらう活動の展開方法が求められます。
最初は、体操をするときに、「1、2」と声を出してもらってもいいでしょう。同じ体操をするにしても、黙って指示どおり動くよりも、自分から声を出しながら動く方が効果的なのです。また、次のような試みもよくされていました。
体を動かしながら声も出す:唱歌などを歌いながら体操等をすると、声が出やすいようです。体を動かしながら声を出す。反対に、歌の力を借りて体を動かすという効果があります。
間違いを楽しむゲーム:グーとパー、左右違うものを出す遊びや、あと出しジャンケンなど、間違いを誘うようなゲームは、笑いを引き出し、声を出しやすい雰囲気を作ります。
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向(5-1)

回想を引き出す:歌にあわせて体操をする時は、歌にまつわる話(例えば、地域、季節、山や海、食べ物、草花、温泉等)をし、それから連想・回想する話を引き出すことで、自然に歌いやすくなります。

子どものストレス緩和

「子どもも大人も、声を出し、リズムに乗って身体を動かし、手をつないだりする遊びをみんなでやることでストレスが解放できる」という医師からのアドバイスで、震災支援にレクリエーションを取り入れたNPOがありました。
大縄とびやグループ・バンブーダンス、キャッチング・ザ・スティックなどのチャレンジ・ザ・ゲームは、こうした点からも有効で、災害支援のためのプログラムとして準備したい活動です。実施する際には、子どもたちが声を出してリズムに乗り、一体感を感じることができるようにリードすることが必要です。特に低学年の子どもたちには、少し難しい種目もあるので、ルールや導入方法も柔軟に変更するなど、子どもたちの年齢や体力等に合わせた指導・実施方法の準備が必要です。
 レクリエーション・ボランティアに関するノウハウ  支援の方向(6-1)

道具がないなかで、昔遊び(ケンケンパ、かごめかごめ等)や支援物資を活用した遊び(毛糸を使ったあやとり、段ボールを利用したメンコ等)、2人組みで楽しむ運動遊びなどを行ったケースもありました。再度、こうした遊びにも目を向けていく必要がありそうです。
そして、こうした遊びでストレスを解放した後、平常のリズムを取り戻し、気持ちを穏やかにクールダウンしていく、そのためのアクティビティも必要です。

災害時に動ける準備

被災者の気持ちを落ち着かせ、和らげ、健康の維持やストレス緩和という点からも、災害に備えてレクリエーションの研修を行い、支援への理解者、協力者を一人でも増やしていくことが大切です。
こうしたプログラムやノウハウは、普段の実践がなければ活かすことができません。災害時に活用しやすい昔遊びやチャレンジ・ザ・ゲーム、いろいろな体操等を、普段の活動・事業等の中で行いながら、スタッフの対応力をつけていくことも必要です。例えば、今回の震災では、介護予防教室に取り組んでいた地域レク協会が早くからアクションをお越し、スタッフと役割を分担しながら活動を継続しています。高齢者のサロン活動や子どもの居場所づくり等に取り組むことは、災害時のレク支援の準備にもなっています。
また、初期の災害ボランティア活動の中では、ロープワークがとても必要とされた一方で、ロープワークができるボランティアが少なかったそうです。例えば、普段の子どもたち向けの活動の中にロープを使う遊び・プログラムを導入しながら、スタッフがロープワークを身につけていく。そうした普段のレクリエーションを活かした準備についても被災地では検討がされています。

(企画・広報チーム 小田原一記)
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