Recrew No.638(2013年2月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.18
Recrew No.638(2013年2月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.18

公開日
2020年7月11日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
被災者の自立した活動を支える
サークル活動の支援


被災地の公認指導者が続ける健康づくりサークル 宮城県塩釜市

宮城県塩釜市は、東日本大震災で市域面積の約22%が津波により浸水し、13000を超える家屋が被災しました。この塩釜市でレクリエーション・インストラクターの北村裕子さんが、健康づくりのためのサークル活動を続けています。
北村さんの「藤倉いきいきサークル」は、平成14年に創られました。塩釜市の健康推進策の一環として、また、北村さん自身もその当時、膝関節に痛みがあり、身体を動かして健康づくりをしたいという思いから立ち上げられたサークルです。普段は、地元の藤倉中央越の浦集会所で月2回の活動を行い、そのサークルの仲間と月1回の高齢者の食事会も運営しています。しかし、そうした活動も東日本大震災後は一時中断しました。
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サークルのある藤倉という地域も浸水し、北村さんをはじめサークルの多くのみなさんの自宅が被災しました。震災後は自宅の片づけもあり、サークル活動を楽しむ気持ちにもならなかったと言います。しかし、時間の経過とともに、サークルのみなさんも身体が鈍ってきていることに気づき、またみんなと集まっておしゃべりを楽しみたいという思いも募ってきました。北村さんが、レク・インストラクターの講習会を受け始めたのもこの時期。サークル活動の進め方や運営に、もっと自信をつけたいという思いからです。受講中には、宮城県レク協会が昨年8月に行った女川町の子どもたちを支援するキャンプも手伝いました。そして、昨年9月から再びサークル活動が始まったのです。
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昨年12月7日(金)、集会所には18人が集まりました。初めて参加する方もお二人います。最初は体操から始まりました。手、指の運動から、腕や肩、脚のストレッチなど、ゆっくりと進みます。これだけでも「汗が出てきた」という方もいました。次はダンベルを両手に持った体操です。腕の押し上げ・下げ運動、屈伸運動など、北村さんのリードに合わせて身体を動かします。12種類の運動が終わる頃には、「けっこうキツイね」とみなさん汗を拭いていました。
休憩に入ると、みなさんのおしゃべりが始まります。そのままにしていたら、ずっと続きそうな勢い。北村さんが「みんなで輪になりましょう」と促し、後半の活動が始まりました。後半は歌や音楽に合わせて身体を動かします。よさこいソーランに参加していた方もいて、その方を先生役にしてソーラン節に合わせた踊りも行われました。一人の方が「これをやるのは久しぶりだね」と話すと、「一年九ヶ月ぶりだよ」、「震災に負けないでみんな元気だからできたんだね」などの言葉が交わされます。
活動の終わりに、「こうして集まる機会があるのが嬉しい」「一人ではできないけど、みんなとなら身体を動かせる」「楽しいし、元気でいられる」と、みなさんが話してくれました。

仮設住宅のサークル活動を支援 東松島市ひびき工業団地応急仮設団地

宮城県東松島市の「ひびき工業団地応急仮設団地」では、住民のサークル「ひまわり会」が創られ、健康づくりや趣味活動、交流を楽しんでいます。サークルの代表を務める中塩敬子さんは、震災前に宮城県レクリエーション協会の研修会を受講し、その時の経験を活かして、震災直後の避難所で子どもたちと一緒に遊ぶ活動を始めたり、仮設住宅で仲間と健康づくりや物づくりを楽しんだりしていました。
今、ひまわり会では9人の仲間が談話室などでのパッチワークづくりや食事会を毎月行っているほか、月2回、集会所でのレクリエーション活動を行っています。宮城県レクリエーション協会は、こうした仮設住宅のみなさんの自立的な活動が続くようにと、この月2回のレク活動を支援しています。
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昨年11月16日(金)、この日は黒川郡レク協会の磯前由美さんと宮城県レク協会の山内直子さんが集会所を訪れました。
最初は、音楽に合わせてサイドにステップを踏む運動から始まりました。山内さんが示す指の数だけステップを踏みながら、左右に動きます。二歩ステップ、四歩ステップ、数が変わるたびに「わっ、間違えた!」と、おこる笑い声。一曲分のステップでも「頭使うから、すぐ温かくなるよ」と話していました。
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「仮設住宅は、三歩で台所もお風呂もどこでも行けるから」「七歩で外に出れるでしょ」「動かないから身体がね…」と話すみなさんの期待に応え、さらに足を使った運動もしました。ステップマットというマスの描かれたマットの上を、前後左右いろいろなパターンで足を置いていきます。「飛んで、下がって、横、横」と、まわりからも声がかかります。「けっこう足にくるね」と、終わる頃にはエアコンのスイッチが全て消されていました。
牛乳パックを輪切りにしたものを積み上げていくツリーづくりにも挑戦。高くなるにつれて、指先に神経を集中して20、30と積み上げていきます。途中で崩れるたびに大きなため息と笑い声に包まれ、あっという間に時間が過ぎていきました。
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次のレク活動は12月で、予定されているのは、マツボックリを使ったツリーづくり。サークルの仲間の一人が既にマツボックリ拾いをして、持ってきてくれていました。みなさん、本当にサークル活動を楽しみにしています。中塩さんも、「こうしたレクリエーションで、みんな明るくなれるんですよ」と話してくれました。

遠野市・被災地の子どもたちの支援 2年目の活動が無事終了! 遠野市レクリエーション協会 佐々木高弘

遠野市レクリエーション協会の2年目の被災地支援活動が、無事終了。今年度は6月7日の釜石市立唐丹小学校3、4年生を皮切りに、10月28日の釜石市の鵜住居児童館の受入まで、計18回、参加者696名、ボランティア550名のみなさんが遠野市の柏木平レイクリゾートを訪れました。
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今年度は、学校や地区単位での参加のほかに児童クラブ単位での参加もあり、幅広い学年の対応に苦慮しました。活動の前半は、全体の交流ゲームからなので低学年の体力に合わせなければなりません。当然、内容も吟味が必要でした。また、まったく津波の被害がなかった地区の児童クラブの子どもたちが遊びに来たのですが、実は津波で家を流されて仮設に引っ越し、転校してきている子どもが結構いること、中には、親を亡くしている子どもがいることがわかりました。私たちスタッフは毎回、子どもたちへの言葉掛けの配慮を怠らず、笑顔になって帰ってもらおうと活動していましたが、逆に子どもたちから元気をもらっていたような気がします。
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陸前高田市立竹駒小学校の校長先生の話によると、いまだに、被災地の子どもたちは曲がったままのガードレールの通学路を歩いて学校へ通っているそうです。校庭は仮設住宅が建って使用できず、体育館は耐震補強工事がようやく終わり、1年半ぶりに使えるようになりましたが、その間に子どもたちの運動能力はみるみる落ちていき、ちょっとしたことで大ケガをする子が増えたそうです。当初は、「思いっきり自然の中で遊んでもらおう」というコンセプトでしたが、2年目は「思いっきり、でもほどほどに自然の中で遊んでもらおう」というコンセプトにしていくことを、校長先生と確認しました。
一緒に参加してくれた保護者も、気持ちに余裕が出てきたような気がします。親向けプログラム(端布を使った巾着づくり)の最中に震災直後の話をするようになり、「久しぶりに癒された。来て良かった」というお声をいただきました。保護者の気持ちが安定してきたおかげで、子どもも気持ちが安定してきたように感じます。参加した後日、感想のお手紙を書いてくる子どもが増えたのも事実です。
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昨年度から、たくさんのボランティアの方たちに支えられてきました。県内各地のレク協会員、地元のママさんバレーボールチーム、市内児童館の先生方、全国各地からの一般ボランティア、ロンドンやアメリカなど海外の方からも参加していただきました。まさしく「絆」です。本当に感謝しています。
私たちは、被災地に入らない活動を展開しています。一時でも劣悪な環境から離すことによって、癒してあげられるのではないかという思いからです。この活動が、あとどれくらい続くのかはわかりません。一年でも早くこの活動が終了し、元通りの生活に戻ることが望ましいことだと思っています。被災地支援ではなく、本来の「明るく豊かな生活」の支援という形で活動していきたいです。
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