災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.667  (2015年12月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.47
Recrew No.667 (2015年12月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.47

公開日
2020年8月10日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
宮城県女川町、復興の道はまだまだ続きます。


女川町レクリエーション協会

10月10日、宮城県女川町は気持ちいの良い秋晴れの日になりました。この日、女川町新田2仮設住宅近くにある女川町ふれあい農園では、女川町社会福祉協議会主催の「レクリエーション交流会」が開催されました。共催は東北福祉大学、宮城県レクリエーション協会・女川町ボランティアセンターです。レクリエーションとピザ窯のお披露目をかねた昼食会を行いました。

女川町レク協会のスタッフは、レクリエーション体験活動に運営協力として参加です。早速レクタイムがスタート。まずは、参加者全員輪になって〝♪うさぎとかめ〟の曲にあわせて肩たたきを行います。本日レクの進行担当は宮城県レク協会の山内直子さんです。その後、3人1組になって左右前後のステップを掛け声とともに行います。「前」と言ったら「前」と一斉に言いながら1歩前に出ます。次は「前」と言ったら「後ろ」と言いながら1歩下がります(言った言葉と逆の言葉動作を行う)。このように徐々に難易度を上げていくと、皆さん「あれ~どっちだっけ?」と言葉と動作がうまく連動しません。チーム毎に立ち位置も微妙に違ってきます。テンポも速くなってくるともう、3人の動きがあわず、お互いの手を引っ張り合ってしまいます。「頭と体がついていかなーい(笑)」との声も聞こえます。その後も、山内さんが考えたバナナの箱にお手玉を載せる数を競う〝バナナッゴー〟というゲームやラダーゲッターなどで楽しみました。

1時間半ほど体を動かした後はお待ちかねの昼食会です。焼きたてのピザや豚汁、焼きそば、自家製の漬物などが提供されました。さすがに焼きたてのピザの味は格別です。暖かい豚汁を皆さんお代わりしていました。

女川町も昨年200戸の公営住宅が建設されました。4月には駅舎も完成して盛大なお披露目会も開催されました。駅前の整備も順調に進んでいますが、被災者の自立再建にはまだまだ時間がかかりそうです。仮設住宅から移転する人もいる中、仮設住宅の集約も検討されているそうです。実は女川町は宮城県でも高齢化率第2位という数値も出ています。

「仮設が抜けていくことで住民の不安やあせりも出ています。心身に支障をきたす高齢者も出てくることが予想されます。介護予防の一手としてレク協会の力を借りて支援をしたいですね」と女川町社会福祉協議会事務局長の佐々木さんは語ってくれました。

生活支援相談員、サポートセンターとレク支援

災害時、仮設住宅等には避難生活を支えるために生活支援相談員やサポートセンターが設置されます。被災者の孤立化を防ぎ、認知症予防や介護予防に取り組んだり、健康状態を改善するための支援も行います。そうした支援のなかで、レクリエーション支援のノウハウが活かされました。

生活相談員は、介護福祉士などの福祉関係者が就くこともありますが、多くは被災者のなかから採用されます。仮設住宅での孤立や孤独死を防ぐことが大きな任務で、全戸を訪問し、見守りの必要な高齢者には定期的な訪問を続けます。そして、集会所等で茶話会などを行い、外に出ることや仲間と交流することを促します。「一人でも二人でも、外へ出る、一歩を踏み出すきっかけになれば」と、歌や軽体操、マッサージなど、いろいろ新しいプログラムを準備します。そうした楽しい活動をしながらのほうが、話がしやすくなり、どんな支援が必要なのかを考える機会にもなるといいます。

避難生活が長引くにつれ、生活の変化から運動不足となり、体力的な衰えが多くの被災者の共通の課題となり、例え少人数の参加であっても、レク活動を通して想いを受け止め、外に出てきてもらう支援が大切になっていきます。

サポートセンターは、地域によっても役割が異なりますが、認知症予防や介護予防を目的としたセンターでは、歌に合わせた体操や身体を動かすゲーム、クラフトなどの健康づくりのプログラムを毎日のように行います。介護の仕事の経験がないスタッフが多いなかで、レクを一緒にやることで、高齢者の反応にあわせて声をかけたり、手助けができるようになったり、「やってあげよう」という意識から「やり過ぎず、待つことがリハビリにもなる」という感覚も持つことができるようになるといいます。また、人と話すことが苦手だったスタッフがコミュニケーションをとれるようになったり、認知症への対応も上手になったといいます。

楽しさを通して、元の生活に戻るためのリハビリも行われました。市街地のショッピングセンターに出かける機会を定期的に設けることで、外に出る習慣ができ、服装などの身嗜みにも気を遣うようになったといいます。また、料理をみんなでつくり、集まった人たちに振る舞い、喜ばれたことが生きがいになったという例。買い物を自宅での調理の機会に結び付けながら、少しずつ生活の自立を促した例もありました。

生活支援相談員やサポートセンターには介護や医療との連携といった役割がありますが、日々の生活の中では楽しさを活用した閉じこもり防止や健康づくり、リハビリが行われます。スタッフの育成も含めて、レクリエーションとの連携も強くなっています。
 Recrew No.667  (2015年12月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.47(2-1)

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