災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.666 (2015年11月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.46
Recrew No.666 (2015年11月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.46

公開日
2020年8月9日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
復興住宅に移ってもレク支援は継続


しちがはまレクリエーション協会

9月5日、宮城県七ヶ浜町にある七ヶ浜第一スポーツ広場仮設住宅で、しちがはまレク協会が運営するレク介護予防教室が開催されました。

「久しぶり~」と、集まってきた参加者の皆さんが楽しそうにおしゃべりしています。10時になったところで、梅津美保子さんの挨拶からスタート。「ご飯食べた? 寒くない?よく寝て、よく食べて、しっかり動きましょう」と語りかけたあと、体調チェックを行い、上肢・下肢の運動を行いました。手首をぐるぐると回し、グーパーやあとだしジャンケンを行います。動作が変わるごとに「姿勢をちゃんと!」と注意を促す梅津さん。その都度皆さんの姿勢が良くなり、体を動かします。大腿四頭筋を伸ばしたり、アキレス腱を伸ばしたり、下肢のストレッチも行いました。

「みんな、サボっていなかったのね~、宝塚みたいね~」と梅津さんからほめ言葉が。と同時に「足、つっちゃったー」と声が上がり、皆さん大笑いです。上肢・下肢を動かしたところで〝七ヶ浜わげっすと体操〟です。この体操の最後に「ぼっけのボーちゃん」という歌詞が出てきます。ぼっけのボーちゃんとは、七ヶ浜町のゆるキャラ。また、ぼっけとは東北地方の方言で、ケムシカジカというのが正式名称の冬季が旬の魚です。七ヶ浜周辺では、「浜菊が咲くとぼっけが取れる」とも言われ、頭が三角にとがっているので、その姿をかわいらしく表現した動作が体操に組み込まれていました。

体操が一通り終わると大腿部にボールを転がし、マッサージを行いました。「ぜんまいもみみたいだね~、ぜんまい買うと高いよね」といった会話に皆さん思わず笑ってしまいます。休憩タイムでは、「暑い暑いね~」との声が聞こえます。体を動かしながら大声で笑っているのでかなりの運動量になっているようです。

最後はスクエアステップを行い、クールダウンでは立ったまま手をつないで簡単なストレッチと深呼吸です。「しばらく手をつなぐこと無いからね」との声にも笑い声が聞こえます。最後に一本締めで終了しました。

この日は8人の参加がありました。11月になると仮設住宅も閉鎖され、復興住宅に生活の場が移るといいます。しちがはまレク協会は、復興住宅の集会所での支援活動も継続する予定で、新たな生活環境に移るなかで、新しい参加者が増えることも期待しています。

長期化する避難生活での子どもたちの支援

東日本大震災で津波の被害を受けた被災地では、公園やグラウンドといった子どもたちの遊び場も流されてしまいました。歩道も整備されない街中をダンプカーが走るため、子どもたちが歩いて友だちの家に行くことも許されません。公園などもない人里離れた場所に仮設住宅が設置されたり、学校の校庭にも仮設住宅が建てられるなど、「子どもが遊べるのは駐車場くらい」といったケースも少なくありませんでした。福島県では放射能の影響で外遊び自体が制限されました。
こうした状況のなかで、「悪いとわかっていてもゲームで遊ぶのを許してしまう」というお母さんたちの声をよく聞きましたし、その結果、被災地の子どもの体力低下や肥満傾向が報告されるようになりました。長期化する避難生活での子どもたちへのレク支援では、次のような伸び伸びと身体を動かせるような機会・場の提供が行われました。
1.あそび場の提供
福島市では月2回、市内の小学校の教室、体育館を利用したあそび場の提供を行いました。外遊びが制限されるなかで、子どもたちが安心して体を動かせる機会の提供となりました。福島県内では、行政が室内の遊び場を設置・提供するケースもあり、災害時にあそび場を提供する必要性が広く認知されるようになりました。
2.デイキャンプ、キャンプの実施
遠野市では、春から秋にかけて被災地の子どもたちを招いたデイキャンプを実施。岩手県、宮城県、福島県でも、少年自然の家等を活用して夏や冬に子どもたちのキャンプを実施しました。
3.スポーツ・レクリエーション大会の開催
女川町ではスポーツ・レクリエーション祭を開催しました。久しぶりに親子で身体を動かす機会となったほか、こうした町の行事が行われることが復興の兆しを感じる機会にもなったと言います。また、いろいろなニュースポーツ種目の普及団体が関わっての支援活動となりました。
4.保育園や幼稚園等の運動プログラムの支援
子どもの運動不足解消、体力アップという視点から、保育園や幼稚園から運動プログラムの提供を依頼されることも多く、災害時の大事なレク支援活動となっています。

こうした支援活動で共通して求められるのは、一斉にみんなが動いて、遊べるプログラムでした。体育の時間の跳び箱のように、順番を待っている時間が長くなるようでは、子どもたちも飽きてしまいますし、運動量も稼げません。本号特集で紹介した集団で遊べるゲームをできるようにしておくことや、忍者ランドやチャレンジ・ザ・ゲームの種目を組み合わせて遊びのサーキットをつくることも有効でした。女川町のスポレク祭では、3B体操の皆さんが、用具を組み合せてトンネルなどの仕掛けをつくっていました。そうした子どもたちの体の動きを引き出す工夫も、日頃から考え、試していけると役立ちます。
 Recrew No.666 (2015年11月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.46(2-1)
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