災害時のレクリエーション支援
 Recrew No.647(2013年12月1日)発行 [笑顔 Again]プロジェクト Vol.27
Recrew No.647(2013年12月1日)発行

[笑顔 Again]プロジェクト Vol.27

公開日
2020年7月20日
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被災地に笑顔をとどけるTeam Recrew
スポレク祭と人材養成で
被災地の復興を支援


飯舘村仮設住宅での活動が3年目に入りました 福島県レクリエーション協会

福島第一原子力発電所の事故により計画的避難区域となった飯舘村。その飯舘村の住民が暮らす相馬市大野台第6応急仮設住宅で、福島県レクリエーション協会の支援活動が2011年8月から毎月続いています。
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9月29日はレク・インストラクター受講生の米谷武子さん、相馬市に住む公認指導者の後藤正子さんも参加しました。相馬市レク協会は主に種目団体で構成されていましたが、大野台仮設住宅での支援活動がきっかけとなり、公認指導者のクラブもつくられています。
この日の始まりは午後1時30分。1時過ぎるとみなさんが集まり、お茶を飲みながらのおしゃべりが始まりました。毎月顔を合わせているため、スタッフとも打ち解けていて、午前中に家畜の世話で飯舘村に行ってきたことや、最近の村の出来事、体調など、いろいろな話を聞くことができます。
時間になると、米谷さんが最初のゲームをリードしました。鼻と耳に添えた手を左右入れ替えるゲームです。初めは簡単な動作から始まりましたが、右手で左耳に触れたり、テンポも速くなり、段々に難しくなっていきます。最後は「ウサギとカメ」を歌いながら両手を動かしました。みなさんも真剣な表情。そんな時に米谷さんが動作を間違えました。すると、みなさんの肩の力も抜け、緊張も一気にほぐれました。
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続いて石渡弘美さんのリードで身体を動かしました。円形になり、リズムに合わせて左右の人の肩をたたきます。左右8回ずつから始まり、4回、2回、1回と動きが忙しくなっていき、動作に慣れてきたところで、また歌を歌いながらやってみます。次は膝をたたくゲーム。これも段々に動作が複雑になり、隣の人を越えてその隣の人の膝まで手を伸ばします。「もうちょっと小さくなろう」と自然と声が出て、みなさん座っている輪を小さくしました。しかし、ゲームが進むにつれて「暑くてダメだ」、「もうちょっと広がっぺ」と元の輪の大きさに。「遊びだけど、こんなに身体が温かくなるんだね」と話す声も聞かれました。
原発事故により避難する飯舘村のみなさんは、他の被災地とは違った困難さを抱えています。飯舘村の家に戻りたいという方は、高齢者を中心に多いのですが、それがいつになるかわからない「先が見えない不安」があるそうです。福島県レク協会のスタッフとも打ち解け、いつも明るく接してくれる、大野台第6応急仮設住宅のみなさん。しかし、明るく振る舞いながらも、ふとした時に「もとには戻らない」、「心の傷は消えない」という気持ちを話してくれます。こうした気持ちに寄り添いながら、福島県レク協会の支援が続いています。

女川町スポーツ・レクリエーション祭を開催 宮城県レクリエーション協会

10月14日体育の日、宮城県レクリエーション協会は、女川町教育委員会、女川町体育協会と共に、女川町スポーツ・レクリエーション祭を開催しました。スポレク祭は震災前も行われていましたが、昨年度から復活。今年度は、「町民が親しみやすい活動を増やしたい」と、宮城県レク協会が共催に加わることになりました。
会場となった女川町総合体育館は、震災時には800人を超える町民が集まった避難所。屋外の会場、総合運動場、野球場、テニスコートなどには仮設住宅が設置され、陸上競技場では復興公営住宅の建設が進んでいます。
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そんな女川町を応援しようと、宮城県レク協会の加盟種目団体、登米市と石巻市の地域レク協会、レクの学習課程を設置する東北福祉大学、東北文化学園と北海道の教員グループなどが集まり、ユニカール、シャフルボード、3B体操、キンボール、フライングディスク、ターゲットバードゴルフ、ノルディック・ウォーキング、ダーツ、ラダーゲッター、ストラックアウト、伝承遊び、幼児のための遊戯コーナーなどが設置されました。
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スポレク祭が始まる10時になると、総合体育館にはたくさんの親子連れが集まってきました。スタンプラリーの形式で、いろいろなスポーツを体験していきます。3B体操のグループは、用具をつなげたトンネルやマットなどで遊びのサーキットを作り、子どもたちが何度も走りまわっていました。「去年はこんなにいろいろなかった。今年はすっごく楽しい」とお母さんたちの評判も上々です。
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「初めて見るスポーツ」と人気を集めていた、ユニカールやシャフルボード。スタッフからじっくりと時間をかけてルールや投げ方、道具の扱い方を習う高齢者のグループもありました。仮設住宅の生活支援相談員のみなさんも、集会所での健康づくりの活動として取り入れられないかと、いろいろなスポーツを体験。さらに、屋外のグランドでは、ノルディック・ウォーキングやディスクゴルフを家族で楽しむ姿も見られました。

被災地でレク・インストラクターを養成 宮城県東松島市、女川町

宮城県レクリエーション協会は、津波により大きな被害を受けた東松島市と女川町でレクリエーション・インストラクターの養成を行っています。今後も長期的な支援の必要が予想される中、継続的に支援に関わることができる人材を養成することが目的です。
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受講生の多くは、仮設住宅に住みながら住民の世話役などを担っている人たちで、社会福祉協議会の職員も参加しています。
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部屋に籠もりがちな高齢者が増える中で、「仮設入居者の多くは、なかなか家から出てきてくれない。出てきてくれたとしても、どのようにして体を動かしてもらうか。その手法も知識もない。なんとかして、学ぶ機会があれば」と受講生の想いも切実です。「色々な素材に触れて、とても楽しかった。この楽しさを早く地域に持ち帰って、仮設で生活する方たちに伝え、私たちでみなさんの笑顔を取り戻したい」と、真剣に取り組んでいます。
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